【保存版】救急隊の病院連絡のコツは3つだけ【ハッキリ言って楽勝】

悩める救急隊員「病院連絡が全然うまくいかない。上手に伝えられなくて、医師や上司に怒られたりするのがツラい。コツや考え方、練習方法などを教えてほしいな。」
こういった悩みにお応えします。
この記事の内容
- 救急隊の病院連絡で求められること
- 上手な病院連絡のコツ【ポイントは3つある】
- 病院連絡はカンタンです【難しく考えず「本質」を見よう】
この記事を書いている僕は、元消防士。
大学で救急救命士の資格を取り、6年ほど働きました。
とはいえ、病院連絡に関しては100%、世の中の消防士より僕の方が上手いです。
なぜなら、民間で働くことで「本質」がはっきりと見えているから。
悩んでいる若手は、ぜひこの記事を読んでください。
必ず、病院連絡のコツが分かるはず。
そして、消防特有のしがらみに負けず「正しい病院連絡」ができるようになります。
更新情報(2020年6月27日)
1.救急隊の病院連絡で求められること

たったの1つしかなくて、下記です。
上記です。
くれぐれも、「カッコよくしゃべること」とか、「上司に認めてもらうこと」とか、、、意味のないことに向かっていくのはやめましょう。
しかしぶっちゃけ、やり方なんて何でもOKでして、、、。
「求められていること」ではなく、「スラスラと話せること」ばかりにとらわれている人が多いので注意です。
1-2.救急隊は、医師の「目」となるべき
医師は、僕らよりも頭が良いです。
しかし、病院につくまでは「傷病者のことを見ていない」ですよね。
見ていないと、下記のことは分からないはず。
- 表情から見て取れる「印象」
- 身体に出ている「所見」
- 傷病者の性別・体格・服装などの「特徴」
上記です。
これらを実際に「目」で見ているのは救急隊だけですよね。
発症直後の「貴重な時間」を、その傷病者がどのような様子で過ごしたのかを、医師はものすごく知りたいはずです。
1-3.病院連絡が下手な人の特徴【相手のことを考えられない人です】
つまり、下記です。
- 相手が「見えていない」ということを、考えられない
- 相手が「イメージ」しやすいように話そうとしていない
上記のとおり。
スラスラと、「それっぽいこと」を話すのは、「詐欺師」ですからね(笑)。
下手な人ほど、よくしゃべる
例えば、お腹が痛い人の病院連絡をする場合。
へたくそな人は、「相手が逆に困ってしまうような病院連絡」をします。
通報1時間前からの右上腹部痛があります。バイタルは、意識生命、呼吸正常、脈拍100回、血圧120/80です。最終食事は12時ころ。アレルギーはありません。
例えば上記です。
一見、「医療用語」もたくさん含んでいるので、上手にできていると思うかもですが、、、。
これは「ゴミ病院連絡」です。
なぜなら、医師がイメージできないから。
上記が全く伝わりませんよね。
相手がイメージできるかどうかが最重要
下記の方が、100倍マシです。
痛みはずっと変わらず、苦しそうです。
バイタルは正常なのですが、痛みによりすこしだけ冷や汗もかいています。
上記のとおり。
これなら、『女性が、右上腹部の持続痛により、かなり苦しんでいる。』と医師がイメージできますよね。
こんな感じで、「目的」を果たす病院連絡をすることが大切。
それっぽいことを並べるだけの救急隊員は、卒業するべきですね。
2.上手な病院連絡のコツ【ポイントは3つある】

スミマセン、前置きが長くなりましたが、下記のとおり。
- コツ①|結論→補足の順に伝える
- コツ②|必要のないことは伝えない
- コツ③|事実のみを伝える(嘘・予想・思い込みは要らない)
上記は、「最低限守るべきポイント」です。
そして結論ですが、上記を達成すれば病院連絡にかかる時間が短くなります。
口数が減るからです。
2-1.コツ①|結論→補足の順に伝える
超重要です。
結論を最初に言いましょう。
これができないと、伝えたいことが一切伝わらなくなります。
下記に具体例を示します。
ダメな例
上記です。ゴミです。
医師からすると、『おい、心源性ショックかも知れんやん。それを早く言えや。今朝起きた時から~とか、あとでいいわ』ですからね。
良い例
上記です。
1番伝えたいことである、「胸痛があり、なおかつショックで苦しんでいる人」というイメージを、秒速で医師にさせることができます。
1番伝えたいこと(=結論)を最初に言わないと、
- 何が言いたいのか全く伝わってこない
- 最悪の場合、重要なことを伝え忘れる
- ダラダラ喋り過ぎて、時間を浪費する
上記のようなミスにつながるので、注意です。
2-2.コツ②|必要のないことは伝えない
これが、病院連絡がダラダラする原因です。
必要ないことを話しすぎです。
上記で説明した「結論」がぼやけてしまうような情報は、話す必要なしですからね。
具体例として、「腹痛があり、ショック状態
」の傷病者の病院連絡を見ていきましょう。
ダメな例
例えば上記でして、「手に入れた情報を全て伝えようとしてしまうパターン」です。
良い例
上記で十分です。
アレルギーとか、瞳孔とか、意識レベルとかって、別になくてもOK。
傷病者のイメージができれば、それ以上べらべらしゃべる必要は無いわけです。
- 結論と関係が無いこと
- 結論と関係がなさそうだと思ったこと
上記は、伝えないことが大切です。
よくある質問:『いや、アレルギーも関係ないとは言い切れないっしょ。必要です』
はい、その通りです。
が、アレルギーの情報が本当に必要かどうかは、「医師が決めること」です。
なので、「聴取」だけしておけばOK。
自分の伝えるべき最低限のことを話し、
上記のように聞かれた場合に、『特にないそうです』と答えればOKです。
繰り返しですが、「得た情報」を全て話すのは時間の無駄です。
聞かれたら、答えればOK。
聞かれなかったら、答えなければOKです。
2-3.コツ③|事実のみを伝える【嘘・予想・思い込みは要らない】
意識高い系の救急隊にありがちな「圧倒的なミス」です。
具体例は、下記のとおり。
ダメな例
上記です。
- 『~によるものと思われます』
- 『恐らく~です』
- 『~の可能性があります』
これらは、使ってはダメです。
医師は、病院連絡の「情報」から「イメージ」したいはず。
しかし、情報ではなく「予想」を聞かされると、イメージしづらいのでイライラですからね。
良い例
上記です。
事実しか述べていませんね。これなら、医師もイメージしやすいです。
医師は優秀です【あなたが全て教える必要なし】
先ほどの「良い例」だけ伝えれば、医師はほぼ100%、イメージしてくれます。
上記です。
おすすめの本
これまで説明してきたことが、大体書いてあるはず。
とはいえ、ぶっちゃけ、不要です(笑)。
が、後輩に指導したり、ウザい先輩にマウントが取りたい場合はポチっておけば勝てます(笑)
どんな症例でも使える病院連絡のテンプレート
I-SBAR-Cテンプレート
です。
結論、上記を使えば、これまで説明してきたポイントを自動的に達成できるはず。
- Identify(同定)
- Situation(状況)
- Background(背景)
- Assessment(評価)
- Request(依頼)
- Confirmation(確認)
上記の6つからなるテンプレートです。
病院連絡の練習をする際に、これに沿ってやってみることをおすすめします。
なお、詳しい使い方は、別記事にてまとめてあります。
【救急隊】病院連絡はISBARCが1番です【使い方を解説する/書籍紹介も】
元々は優秀な「報告のためのツール」として用いられてきたISBARC。今や救急隊の病院連絡で使うべきフォーマットとして広く知られるようになりました。詳しく内容を知って、正しく使用すれば、必ず病院連絡がスムーズになります。分かりやすく解説をしていますので是非お読みください。
3.難しく考えず「本質」を見よう

消防士の悪い癖は、下記です。
- カタチにこだわりすぎる
- 本質ではなく「方法」ばかりにこだわる
- 上司が認めること = 正しいことだと考える
上記です。
病院連絡のやり方なんて、「本質」さえ忘れなければどんなやり方でもOK。
結論、上記のような指導をする人は、全員「本質」を見失った雑魚です。
3-1.【本質】:最短の口数で搬送許可が貰えれば何でもOKです
繰り返します。
病院連絡の「本質」
- 運ぶ病院が決まること
- 出来るだけ早く、決まること
上記ですよね。
ダラダラ喋る必要は無くて、病院サイドに搬送許可が貰えればなんでもOKです。
極論を言えば、あなたが医師と友達で、
医師『おお、いいぜ』←ここまで約3秒
上記でも全然いいですよね。
むしろ、圧倒的に傷病者にとっては「有益」です。
病院で医療をうけられるまでにかかる時間が、何分も短くなるからです。
3-2.【断言】同じやり方を強要する救命士は、全員「無能」です
過去の僕が、上司に言われて1番イラついたエピソードを話しますね。
上記です。
意味不明ですね。
とはいえ、この記事を読んだあなたなら、楽勝で論破できるはず。
「本質」を見失わず、思考が凝り固まった上司ではなく、傷病者のためになる病院連絡をすればOKです。
3-3.病院連絡なんて飛び込み営業に比べたら100倍カンタンです
最後に。
消防士を辞めた僕から、1番伝えたいことです。
病院連絡で、あれこれ悩み、上司に怒られないように色々な勉強をする人がいますよね。
ただ、ハッキリ言えるのは、下記です。
上記です。
出来るだけ早く、医師に「OK」が貰えればいいんですよね。
ならば、勉強するべきは「病院連絡」ではなく「営業」です(笑)
これは決して煽っているわけではなくて、「気楽にいこうよ」というアドバイスです。
病院連絡が上手くできず、上司に怒られてツラいと感じる人は、すこし思考が固まりつつありますよ。
搬送許可がもらえた時点で、上司に怒られる筋合いはゼロですからね。
「上司が認める病院連絡」ではなく、「傷病者にとって意味のある病院連絡」を心がければ、余裕が出てくるはずです。
難しく考える必要は、ないですよ。
ぜひ、この記事の内容を実践してみて下さい。
それでは、記事は以上です。
【救急隊】病院連絡はISBARCが1番です【使い方を解説する/書籍紹介も】
元々は優秀な「報告のためのツール」として用いられてきたISBARC。今や救急隊の病院連絡で使うべきフォーマットとして広く知られるようになりました。詳しく内容を知って、正しく使用すれば、必ず病院連絡がスムーズになります。分かりやすく解説をしていますので是非お読みください。