【救命士】救急活動の手順はたったの6つ【難しくない/真似してOK】

Firefighter

 

『新米の救急隊員です。教科書で勉強を頑張ってるのに、いざ現場に出ると何をしたらいいのか分からなくなって困っています。救急活動の手順を、分かりやすく教えてくださいな』

 

こういった悩みにお応えします。

✅この記事の内容


  • はじめに|救急活動の「目的」とは
  • 救急活動の6つの手順【フェーズごとに意味がある】
  • 優秀な救急隊員になるには【書籍を紹介する】

この記事を書いている僕は、「元」消防士です。
救急救命士の資格を持っていまして、ほぼすべてを救急現場にささげた消防人生でした。

消防士を辞めた今、しがらみなくブログで発信できるようになったので、救急隊へ向けてのお役立ち記事を書くことにしました。

この記事では、救急活動の6つの手順、というテーマでお話ししていきます。

大まかな手順を覚えておけば、現場で『次、なにしたらいい、、、?』と手が止まることがなくなります。

さらに、


  • 救急活動の目的と本質
  • 買っておくべき書籍

 

このあたりも記事の後半でお話ししますので、ぜひ最後までお読みくださいませ。

(注1)本記事でレクチャーする活動の流れは、主に内因性疾患(=急病)に対する標準的な救急活動のあり方です。 外傷事案への対応についても本記事の内容を役立てることは可能ですが、一部分けて考えるべき部分もありますので、ご承知おきください。

(注2)この記事は5500文字ほどで、結構長いです。
可能な限り箇条書きを使いましたが、それでも文字数は多くなってしまいました。
とはいえ、かなり有益ですので、サクサクっと読んでみていただけたら嬉しいです。

 

✅はじめに|救急活動の「目的」とは【勘違いしがちです】

はじめに|救急活動の「目的」とは【勘違いしがちです】

下記のとおりです。


  • ① 状態を悪化させることなく
  • ② できる限り早く、安全に
  • ③ 適切な医療機関へ搬送すること

 

上記ですね。

この目的を、全ての傷病者に対しても達成させるために、救急活動の手順をある程度は覚えておく必要があります。

 

☑【注意】救急隊は医者ではありません

いっぽうで、よくある間違った思考が、下記です。


  • この傷病者は、何の病気で苦しんでいるのがを判明させたい
  • 病気や怪我を、自分の手で治したい

 

上記のとおり。

意識高い系はいいことですが、、、。これらは、「医者と看護師」の仕事でして、救急隊の目的とは別物だと考えるべき。

こだわりすぎると、ドツボにハマるので注意ですよ。

例えば、傷病者の病名を当てたいという思いが強すぎると、現場での観察が間延びします。
「心臓に何かありそうだ」ということが分かればOKなのに、詳しく病名を診断したがるので、病院連絡が遅くなったり、現場滞在の時間を不要に伸ばしたりしますよね。

 

結論、これだとNG。
目的の2つ目【できる限り早く安全に】が抜けていますので。

それを踏まえた上で、下記の6つの手順を覚えておくと良いかと。

 

✅救急活動の6つの手順【フェーズごとに意味がある】

救急活動の6つの手順【フェーズごとに意味がある】

スミマセン、少し前置きが長くなりました。

手順は6つのフェーズに分けることができ、下記のとおり。

 

上記です。

もちろん、必要な活動はこれ以外にもあるし、完全に当てはまらないこともありますが、ほぼ100%、全ての救急活動に役立てることが可能です。

逆に、上記のうちどれかが抜けると、


  • 急変を見逃す(目的①悪化させることなく、、、の未達成)
  • 必要な処置をし忘れる(目的①悪化させることなく、、、の未達成)
  • 病院がなかなか決まらない(目的②できる限り早く、、、の未達成)
  • 間違った病院へ搬送してしまう(目的③適切な医療機関へ、、、の未達成)

 

上記のようなミスに繋がり、目的が果たせませんので。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

☑フェーズ①:状況評価

必須です。

具体的には、下記の2つ。


  • 現場の安全性を確認する
  • 傷病者に接触するまでに、様々な情報をゲットする

 

上記です。

安全の確認は、消防士のキホンですよね。

例えば、家の中で救急要請された場合。
番犬はいないか?家の中は散乱していないか?傷病者含め、家族は興奮状態じゃないか?
怪しげな薬や、刃物などはないか?などですね。

 

消防士は、自分の身は自分で守らないといけません。

危険を察知したら、応援を呼ぶなりしつつ、傷病者への接触を後回しにする必要もあるかもです。

 

✓傷病者と接触するまでに、情報をゲットする

これも、状況評価なのですが、、、意外と知られていません。


  • 救急車の停車位置から、傷病者の家まで
  • 家の玄関から、傷病者のいる部屋まで
  • 部屋に入ってから、傷病者に接触するまで

 

上記の全てで、探偵のように細かな情報をゲットし、そこから傷病者の状態を推理するクセを付けましょう。

1つ、具体例を示します。

【状況】
高齢の1人暮らし。家の中は散乱しており、さらに家の中が異常に暑く、空気もまずいように感じる。傷病者は部屋で、ぐったりしている様子。

【推理】
→『具合が悪い』と通報してきたこの傷病者は、生活環境が悪い中で暮らしている。
病院にも満足に行けず、多くの現病を持っているかも知れない。食事や水分も摂れていないかも。
夏なのに、冷房を使っておらず、熱中症や脱水のリスクが高そう。

 

こんな感じです。

ポイントは「違和感を探す」ことでして、現場でとにかく傷病者の具合を見たがる隊員は、ぶっちゃけヘボいですよ。

傷病者を見る前から、その傷病者の手掛かりは存在していますので。

 

☑フェーズ②:初期評価

状況評価で、


  • 現場の安全確認
  • 事前情報の収集と推理

 

上記をしたうえで、いよいよ傷病者に接触です。
そして、接触したら、100%最初にやるべきは初期評価です。

初期評価でチェックすべき項目は、下記でしたね。


  • A:気道
  • B:呼吸
  • C:脈拍(=循環)
  • D:意識状態

 

上記です。

 

✓初期評価やらない人多すぎです【目的が分かっていない】

下記のとおり。


  • そもそも初期評価をやらない
  • 初期評価を、形だけやって全く活動に活かせていない

 

上記でして、いずれにしてもその活動はNGです。

初期評価の目的は、下記です。

この傷病者の現在の状況がヤバい(=心肺停止に陥るが高い)のか、ヤバくない(=今のところは心肺停止に陥る可能性は低い)のかを判断し、 その後の現場活動の「制限時間」をある程度決定すること

 

上記のために、初期評価をします。

少しムズカシイかもなので、具体例を示します。

【状況と初期評価】
胸痛を訴えて通報してきた傷病者。
初期評価で、脈拍が130回、弱い脈、そして冷や汗をかいており、少し顔が白い

 

はい。こんな状況だったとします。
この人は、「ヤバい状態」ですよね。ショックっぽいし、進行すれば心肺停止ですので。

それでは、今後の活動は、下記のどちらがいいでしょうか?

①:現場で時間をかけて、全身をくまなく観察し、バイタル測定も全てする。それから現場を離れる

②:現場では、必要最低限の処置と観察のみ(酸素投与と、心不全の兆候をチェックするだけ、など)を行い、いち早く現場を離れて病院へ向かう。

 

カンタンですね。②です。
ヤバい状態の傷病者に対して、ダラダラ現場で瞳孔とか見ますかね。

 

✓必ず隊員全員で共有しよう

自分は「ヤバいから急ぐ」と思っていても、他の人がそうでなかったら意味がないので。


  • 『Bに問題があり、少し急いだほうが良さそうです』
  • 『ロードアンドゴーでいきます』

 

など、まあ伝え方は何でもOK。かならず皆にも、初期評価の結果を報告しましょう。

 

☑フェーズ③:観察/問診

初期評価を終えたら、詳しい観察に入ります。

具体的には、下記の3種類ですね。


  • 身体観察をして「所見」を集める
  • 問診をして「情報」を集める
  • バイタルサインを測定して「数値」を集める

 

上記です。

繰り返しですが、、、全ての観察や問診を、現場でやるのは「時間の無駄」ですよ。

ここが、救急隊の1番の腕の見せ所ですね。

 

✓必要な観察「だけ」をすること

そのために、救急隊員はテキストで勉強をしているんですよね。

判断材料は、下記です。


  • 指令センターからの無線の内容
  • 状況評価で得た情報
  • 初期評価の結果

 

上記をもとに、「この傷病者は、なぜ、何が原因で苦しんでいるのか?」という問いの答えにつながるものを選んで観察するようにします。

、、、とはいえ、ここはめちゃくちゃ難しい。


  • この病気だと、こんな所見が出やすい
  • こういう所見があると、この病気の可能性が高まる

 

こういった知識を勉強して身に付けつつ、だんだんと慣れるしかないですね。

とはいえ覚えておくべき事は、「必ず取捨選択する」ということかと。

 

☑フェーズ④:判断/臨床推論

ここから折り返しです。

これまでの3つのフェーズで、この傷病者に関する情報がたくさん得られましたね。
それらをまとめて、救急隊としての「結論」を出しましょう。


  • 『この傷病者は〇〇が疑われる』
  • 『この傷病者は、△△が悪くなっている可能性が高い』

 

こんな感じです。

 

✓「病名あてゲーム」ではないです

あくまでも、救急隊による臨床推論は、「現時点での予想」でしかないですので。

繰り返しですが、病名を言い当てることに躍起になると、時間のロスが多すぎます。

大切なのは、やはり「目的」でして、つまりは下記です。


  • この傷病者は〇〇が疑われる → 〇〇について診てくれるのは××病院だから、そこへ連絡しよう
  • △△が悪くなっている可能性が高い → 今後、さらに悪化する可能性がある。酸素をしっかり与えつつ、細かくバイタルをチェックしよう

 

上記です。

例えば、脳出血の疑いがあると判断した傷病者を、泌尿器科専門のクリニックには搬送しませんよね?そもそも、連絡すらしないですね、時間の無駄なので。
さらにいうと、この傷病者をこれから搬送する上で、ただ見守っていればOKですかね。
たぶん、徐呼吸に備えてBVMを用意したり、照明を暗くしたり、手首の硬直を頻回にチェックしたりする必要がありますよね。

 

こんな感じで、救急活動の目的を常に考えると、正しい活動ができますよ。

 

☑フェーズ⑤:病院連絡

ここで必要なことは下記の2つ。


  • 傷病者にとって、最も適切な病院を選ぶこと
  • その病院に、状況を上手く伝えて、搬送の許可をもらうこと

 

上記です。

これまでのフェーズ①~④で、傷病者の情報と、それをもとにした救急隊の推論が出そろっています。
それをもとに病院を選び、連絡をしましょう。

ここも具体例を1つ。

【フェーズ④までの内容】
50歳男性。意識障害とクッシング症状、瞳孔不同が出ており、救急隊は「脳出血による脳ヘルニア」と判断した

 

さて、この場合、下記2つの病院のうち、どちらが適切ですかね。


  • A:現場から5分でつく、内科のクリニック
  • B:現場から15分でつく、救命センター

 

、、、イージーすぎますが、Bですよね。

 

✓病院連絡が上手ければ、オールOKです

正しい判断ができても、病院にそれを伝えられなければその活動はダメな活動です。

例えば、先ほどの例をみてみます。
救命センターへ連絡した際に、『もっと近くのクリニックじゃダメなの?』とか『別の脳外科でもいいんじゃないの?』と聞かれた場合に、 説得力を持って答えるためにはどうすればいいですかね。

 

ここが分かれ道でして、運ぶ病院が決まらない限り、救急隊のゴールは見えてこないですよね。

なお、病院連絡については奥が深いので、別記事にてまとめておりますのでどうぞ。

≫【保存版】救急隊の病院連絡が上手になる思考法(テンプレートあり)
≫【救急隊】病院連絡はISBARCが1番です【使い方を解説する/書籍紹介も】

 

☑フェーズ⑥:継続観察

お疲れさまでした。救急車が、搬送先の病院へ向けて動き出しました。

とはいえ、あとは病院につくのを待つだけ、、、というわけにはいきませんよね。

最後まで寄り添いつつ、目的①:それ以上悪化させないことをイメージしつつ、観察を続けます。

とはいえ、やるべきことはカンタンで、下記です。


  • フェーズ②:初期評価
  • フェーズ③:観察・問診
  • フェーズ④:判断・臨床推論

 

これを繰り返しつつ、「これまでとの変化はないか?」をチェックすればOKです。

 

✅【補足】各フェーズに「処置」が入る場合があります

もういちど、各フェーズをまとめますね。


  • フェーズ①:状況評価
  • フェーズ②:初期評価
  • フェーズ③:観察と問診
  • フェーズ④:判断(臨床推論)
  • フェーズ⑤:病院連絡
  • フェーズ⑥:継続観察

 

上記です。これが正しくできれば、救急活動は怖くないですよ。

そしてもう1つあり、それが「処置」ですね。


  • 救急隊員=「応急処置」
  • 救命士=「救急救命処置(特定行為)

 

これらは、各フェーズのどこかしらに入ってくる、と覚えておきましょう。

 

☑全ての処置には、やるべきタイミングがある【勉強です】

例えば下記のとおり。


  • フェーズ①:状況評価で明らかに出血 → 止血
  • フェーズ②:初期評価で呼吸が異常 → 酸素投与
  • フェーズ③:観察で、体温がめちゃ低い → 保温
  • フェーズ⑥:継続観察中に呼吸数が10回未満に → BVM補助換気

 

こんな感じですね。

“処置・介入のタイミングについでもかなり奥が深くて、現場で行うべきものと、時間短縮のために後回しにすべきものが混在しています。
しかも、傷病者の状態によりけりで、優先順位が入れ替わったりもしますよね。

 

このあたりについても、勉強と経験ですね。

 

✅救急活動の本質|上司に認められることではない

救急活動の本質|上司に認められることではない

当時の僕を含め、若手の救急隊員のよくある間違いが下記です。


  • 上司に怒られたくないから頑張る
  • 上司に認められたいから、上司の言うとおりに動く

 

上記です。

あくまでも目指すべきなのは、傷病者にとって最良の救急活動を提供することでして、上司に褒められることじゃないですよ。

もっと言うと、上司の判断だって時には間違っていることもあり、それは年齢に関係なく指摘するべき。
それでキレてくる上司は「目的」を間違えているので、見捨ててOKです。

 

目的を間違えることなく、この記事で説明した6つのフェーズを取りいれ活動をしてみて下さいませ。

 

☑優秀な救急隊員になるには【書籍を紹介する】

最後に1つあり、優秀な救急隊員は、毎日勉強しているということです。

ぶっちゃけ僕も、サボっている日が結構ありました(笑)
とはいえ、書籍と研修費で、6年間で150万は使ったので、救急に関しては誰にも文句を言われず仕事させてもらってました。

 

結論として、救急活動の質を上げるためには、勉強が必須です。
しかも、範囲は無限大だし、すぐに忘れちゃうので継続しないとですね。


  • どうやって勉強したらいいか分からない
  • どの本で勉強すればいいかわからない

 

こういった人たちも多いので、おすすめの書籍をいくつか紹介しておきます。



1番下の書籍は、「ベイツの教科書」と言われている本です。

救急医をターゲットにした、身体観察のバイブルでして、ぶっちゃけ超有益。
この本1冊をまるまる理解すると、そこらの救急医よりも観察スキルが上になります。

 

僕はこの本を毎日読んでました。おもしろいですよ。

ということで、今回はこのくらいにします。

僕は、まあ色々と障害があり消防士を辞めてしまったのですが、、、救急の勉強は今もしていますし、努力をしている人は大好きです。
陰ながら応援してますので、身体に気を付けて、頑張ってくださいませ。

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