【消火理論】火の消し方は全部で4種類|すべて大切です【消防士】

Firefighter

『火の消し方って、水をかけるだけじゃないらしいね?他にはどんな方法があるのか、分かりやすく教えてくださいな』

『消防士として最低限の消火理論を押さえておきたいな』

こういった疑問にお応えします。

✅この記事の内容


  • 火の消し方は、4種類ある
  • 消火とは何か
  • 火災は、怖いです

この記事を書いている僕は、「元」消防士です。
8年間、消防士として働いていたので、火の消し方については一般の人よりも詳しいと思います。

この記事では、誰にでも分かる「火の消し方と、基礎的な消火理論」についてまとめました。

火災は、全てを失う恐ろしい災害ですが、皆さん一人一人が正しい知識を持っていれば、火が起きてもすぐに消すことができます。

全ての人が知っておくべき「火の消し方」を、簡単にまとめましたので、サクッとお読みくださいませ。



✅火の消し方【結論:燃焼の4要素のうち1つを取り除くことです】

燃焼の4要素のうち1つを取り除くことです

消火とは、つまり下記です。


  • 燃料
  • 酸素
  • 連鎖反応

上記のうち、最低でもどれか1つを取り除くことで、火が消えます。

モノが燃えるためには、燃焼の4要素が全て揃っていることが絶対条件なので、その邪魔をすれば、火は消えるということですね。

なお、「燃焼の4要素」が何か分からない方は、先に≫燃焼の4要素とは|誰もが知るべき「火の知識」【元消防士が教えます】の記事を読んでいただけたらと思います。


現在、様々な消火方法が存在しています。


  • 水をかける
  • フタをする
  • 砂をかける

などなど。
結論、『この方法では、4要素のうちのどれを取り除いているのか?』が分かれば、正しい消火ができるようになります。



✅火の消し方は、4種類ある【4要素に対応しています】

つまりは、下記です。


  • ①|燃料を取り除く消火方法
  • ②|酸素を断つことによる消火方法
  • ③|熱を奪う(温度を下げる)ことによる消火方法
  • ④|連鎖反応を止める消火方法

上記のとおり。
火災の種類や、燃えているものによってこれらを使い分けることができれば、火災を初期のうちに消火することができます。

順番に、具体例を見てみましょう。



☑①|燃料を取り除く消火方法

燃料を取り除く消火方法

消防士の世界では、「除去消火」とも呼ばれます。

燃えているものを、直接取り除くことにより、燃焼を止める消火方法です。

例えば、ガスの元栓を閉めるとかですね。
台所での火災で、一生懸命水をかけても消えず、全焼してしまうケースがありますが、元栓を閉めて燃料を断っていれば、何とかなっていた可能性もあります。


他にも、燃料を取り除く消火には、下記のようなものもあります。


  • 燃えている建物を、壊すことで消火する(破壊消防)
  • 燃え移りそうなところにある可燃物を、別のところへ移動する(延焼防止消防)

こんな感じですね。


✓「一家全焼」とは、燃料がすべて燃え切ったことを意味する

悲しいことに、消防隊の消火でも追い付かず、一家が全焼してしまうこともあります。

これはつまり、その建物と家財が、すべて燃え切ったという意味でして、「燃料」が尽きたことで燃焼が終了したということです。

消防隊の放水では、ぶっちゃけ消せないくらい火が大きくなってしまうと、こういった形で燃料(=家)が燃え尽きるのを待つしかない、というケースもあるのが実情です。


この場合、隣の家に水をかけたり、家の外にあるガスボンベなどを移動することで、隣家への燃え移りを防止します。

「燃料を取り除く消火」として機能していますね。



☑②|酸素を断つことによる消火

酸素を断つことによる消火

これは、消防の世界では「窒息消火」と呼ばれたりします。

モノが燃えるのには酸素が必須なので、それを取り除けば、火は消えます。

例えば、キッチンの鍋から火が出た時に、フタをしてしまうのが分かりやすいかと。
水をかけなくても、酸素との結びつきを遮断すれば、火は消せますので。


ちなみに火災現場へ駆けつける消防車には、ほとんど「泡」が放射できる機能が備わっています。

これは、火を「泡」で覆うことで、酸素との結びつきを弱める効果が期待できるからです。


✓火災=とにかく水をかける|←危険です

水をかけると、逆効果になる場合もあることは覚えておくべき。

例として、天ぷら油の火災。
油は水をはじくので、水をかけても火が消えません。それどころか、油が飛び散って、別のところに燃え移ってしまう可能性もあります。
こういうときは、窒息させる消火方法の方が効果的ですよね。


酸素であったり、空気との接触を断てばOKです。



☑③|熱を奪う(=温度を下げる)消火

熱を奪う(=温度を下げる)消火

消防士の世界では「冷却消火」と呼ばれます。

これは1番イメージが付きやすいところでして、一般的には水をかけて火を消すことですね。
ここは特に解説は不要かもですが、覚えておきましょう。

火に水をかけると火が消えるのは、「温度が下がるから」です。


✓水は、どのようにして熱を奪うのか?

結論、ポイントは「気化熱」です。

水をかけると、火の持っている熱によって「蒸発」しますよね。
この時に、熱を奪う性質があります。理科でいうところの「気化」です。


火災の火の熱量 vs 放水による吸熱量

上記のバランスで、水が勝てば消火です。
いっぽう、あまりにも火が大きくなると、火が勝ってしまい燃え続ける、ということですね。



☑④|連鎖反応を止めることによる消火

連鎖反応を止めることによる消火

これが最後です。
消防でいうと、「抑制消火」です。

燃焼が続いていくために必要な「化学反応」をターゲットにして、連鎖をシャットアウトすることで火を消す方法です。

具体例を言うと、よく見かける「消火器」ですね。
今の時代の消化器には、ほぼ100%、ふつうの水は入っていません。特殊な薬液が入っていることがほとんどで、この薬液の作用により、化学反応を食い止める効果があります。




上記はいわゆる「家庭用消火器」でして、普通の水ではないです。
なので、熱を奪う効果は水より低いです。

反応を抑制する効果 + 若干、熱を奪う効果


こんな感じで、火災を初期の段階で消せるための薬液が入っています。



✅まとめ|火災は、怖いです【備えよう】

まとめ|火災は、怖いです【備えよう】

では、この記事で紹介した4つの消火方法をまとめます。


  • 除去消火(燃料を取り除く) → 可燃物の除去、破壊など
  • 窒息消火(酸素を取り除く) → フタ、泡、二酸化炭素など
  • 冷却消火(熱を取り除く) → 水をかけるなど
  • 抑制消火(連鎖反応を取り除く) → 消火器などの化学薬剤など

上記のとおりです。是非覚えておいてくださいませ。


僕が消防士だったころ、地域の防災訓練で住民の前でお話しさせていただく機会が結構ありました。

その時に、僕が必ずお伝えしていたことは下記です。


  • 火災は、火災について理解が乏しい人の家で起きる
  • 普段、火災のことをまったく考えていない人に限って、火事を起こす
  • 最強の火災予防は、「火災について勉強し、知ること」です

上記です。

ようは、「準備」をしていない人こそ、火災でひどい目に合うということです。

大切な家や家族を、火災で失わないためには、日々の心がけと準備、そして以下に早い段階で火を消せるかにかかっていますよ。



それでは、この記事は以上です。

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